組織の運用環境の標準化はオペレーティングシステム (OS) から始まりますが、そこで完了するわけではありません。システム数が増えるにつれて、構成ドリフトやメンテナンスの繰り返し作業が増加し、じきにアップデートが頭痛の種となります。Red Hat は、標準運用環境向けの堅牢で一貫性のある統合ソリューションを実現するために必要なものを提供することで、標準化の取り組みをサポートします。
この記事では、標準化の過程で考慮すべき主要な領域と、Red Hat のテクノロジー、製品、サービスを使用してこれらを単純化する方法について説明していきます。
ハイブリッドクラウド全体での一貫性
時間の経過とともに、システム上での日常的な作業は、構成ドリフト、稼働中のワークロードの問題、脅威にさらされる可能性を引き起こします。標準化を始める最善の方法として、ベアメタル、ハイパーバイザー、クラウドのいずれであっても、インフラストラクチャ全体の信頼できる土台として、一貫したベースラインを用意することが挙げられます。
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) では、強化され、必要なツールで事前に構成され、さらに重要な点として、長期的に再現可能なインストールイメージの構築を開始するための 2 つの異なる方法が提供されます。
イメージビルダー
RHEL に含まれ、Red Hat Insights サービスでも利用できるイメージビルダーを使用することにより、オペレーティングシステムのイメージのブループリントを定義できます。イメージには、ユーザー、ファイアウォールルール、リポジトリ、含めるパッケージなど、必要なだけカスタマイズを加えることができます。セキュリティプロファイルを適用してイメージを強化することなども可能です。
イメージビルダーは、オンプレミス、クラウド、またはエッジにデプロイできるインストールメディア (ISO、クラウドプロバイダー・イメージ、ハイパーバイザーイメージなど) を生成できます。
RHEL のイメージモード
イメージモードはオープンソースの bootc プロジェクトをベースとし、RHEL システムを大規模に構築し、管理するための新たな手法を提供します。システムコンテンツを Containerfile で定義すると、コンテナイメージが作成されます。このイメージはインストールメディア (ISO、クラウドイメージ、ハイパーバイザーイメージなど) に変換することができ、インフラストラクチャ全体に一貫してデプロイできます。
メリット
これらのツールを導入することで、次のようなメリットが得られます。
- ビルドの標準化:イメージビルダーとイメージモードの両方を使用して、サーバーとアプリケーション向けのより信頼性が高く再利用可能なベースラインを作成できます。
- ドリフトの削減:イメージモードはイミュータブルなコンテナイメージを使用して、より高い安定性と一貫性を持ってシステムをオンラインに維持します。/var ディレクトリのみが、アップデート後も永続性を維持します。
- セキュリティの強化:標準化され、バージョン管理されたイミュータブルなイメージにより、脆弱性が減少し、セキュリティポスチャが向上します。イメージ作成中にセキュリティポリシー (CIS、PCI-DSS など) を適用できるため、強化されたコンプライアンス準拠のベースラインがビルド時に構築され、Day 1 および Day 2 オペレーションが削減されます。
Red Hat Identity Management
ID 制御とアクセス制御は、組織内外の攻撃対象領域を最小化するために不可欠です。権限は詳細に設定でき、一元化されている必要があります。
ルールやポリシーを定義して適用し、ホスト、サービス、ユーザーを管理できるようになることで、システムのメンテナンスとセキュリティの両方が大幅に向上します。これにより、インフラストラクチャをセキュリティの脅威にさらす可能性のある構成のスプロールやドリフトを削減できます。
すべての RHEL サブスクリプションには、一元化された ID およびアクセス制御のための完全なソリューションである Red Hat Identity Management (IdM) が含まれています。このソリューションは以下を提供します。
- ホスト、サービス、ID 用のドメインコントローラー機能
- RHEL 環境を管理するための DNS サーバー機能
- 証明書の発行、署名、ローテーションのための認証局機能
- 詳細なロールベースのアクセス制御 (RBAC) の実装:誰がどのシステムにアクセスでき、どのアクションを実行できるかを定義する
- 多要素認証とパスキーのサポート
詳しい概要については、このブログ記事および IdM 製品ページをご覧ください。
プロビジョニング、パッチ適用、コンテンツ管理
インフラストラクチャを拡張する場合、サーバーの数が急増することは周知の事実です。コンテンツと構成を目的に合わせて維持することが、次第に難しくなります。しかし、Red Hat Satellite を使用することで、RHEL サーバーを単一画面から大規模に管理できます。
Red Hat Satellite は、コンテンツ管理、プロビジョニング、数千ものホストを対象とする大規模なアクションの自動化など、幅広い機能を提供します。また、レポート作成およびさらなる自動化の開発に向けた信頼性の高いインベントリーソースとして機能します。
具体的には、Red Hat Satellite は次のような場面に最適です。
- RPM パッケージ、Flatpak、コンテナイメージなど、複数のソースからのコンテンツを管理する。
- コンテンツのライフサイクル管理を定義して実装し、環境とステージを定義して、それらの間でコンテンツをプロモートする。
- ベアメタル、ハイパーバイザー、クラウドプロバイダーと連携して、RHEL サーバーをプロビジョニングし、管理する。
- Red Hat Insights との直接統合を活用して、接続されていないサーバーのプロキシとして機能する。Red Hat Insights Advisor の機能は、Red Hat Satellite 6.17 のテクニカルプレビュー機能としてオフラインで使用することもできます。
Red Hat Insights
Red Hat Insights は、Red Hat インフラストラクチャで完全にホストされる Software-as-a-Service (SaaS) ソリューションです。CVE の管理と修復、マルウェア検出を支援し、構成の提案やアドバイスなどを提供します。
自動化
数百から数千台に及ぶサーバーを扱う場合、自動化は必須です。自動化により、エラーが発生しやすい繰り返しのタスクを手作業で処理する必要がなくなります。それだけではありません。優れた自動化プラットフォームは、シークレットや認証情報の管理のほか、複数の複雑なタスクの整理にも役立ちます。
Red Hat Ansible Automation Platform は、サーバーの大規模な自動化を簡単に開始できる、必要なものをすべて備えた IT 自動化プラットフォームです。それだけではなく、自動化のあらゆる側面に対応できる次のような一連の機能を提供します。
- サーバー、デバイス、クラウドプロバイダー、サードパーティ製プラットフォーム向けの認証情報の管理、または独自の認証情報の作成と定義が可能
- 外部サービス (クラウドプロバイダーやハイパーバイザー) や完全に統合された Red Hat 製品 (Red Hat Satellite、Red Hat Insights など) から静的または動的に取得されたデバイスのインベントリーを作成および管理
- 自動化をテンプレート内に整理して複雑な操作を自動化し、特定のタスクに認可手順を導入
- 組み込みのロールベースのアクセス制御機能を使用して認可を管理し、可視性、操作、プラットフォームへのアクセスを制限
コンテンツを作成または再利用する場合、このプラットフォームではコレクション、ロール、実行環境を Automation Hub に直接ミラーリングして保存することもできます。これは、オフライン環境や高度に規制されたシナリオに最適です。
Red Hat Ansible Automation Platform では、バージョン 2.4 以降、イベント駆動型自動化を利用できます。これにより、外部ソース (監視システム、クラウドサービス、キュー、メッセージングシステム) から発生したイベントを直接統合してキャプチャし、対応することができる新しい自動化パラダイムが導入されます。
多数のイベントソースがすでに標準でサポート済みです。今後はさらにイベントソースのサポートが予定されており、サードパーティベンダーはすでに、サポートされているバージョンのイベントソースを公開しています。イベント駆動型自動化の詳細については、こちらの概要をご覧ください。
環境の標準化
標準化とは、単一のオペレーティングシステムを選択したらすべてが自動的に制御されるようになるということではありません。デプロイメントからパッチ適用、アップデートとアップグレード、メンテナンスまで、システムのあらゆる側面を管理するには、統合されたツールや製品のエコシステム全体が必要です。
Red Hat では、組織が必要とするあらゆる要件をサポートする、完全に統合されたコンポーネントで構成された環境を持つことに大きな利点があると確信しています。 だからこそ、Red Hat は、お客様の標準運用環境への移行計画と実行において、すでに価値を提供しています。
詳細にご興味のある方は、今すぐお問い合わせください。
Red Hat 製品セキュリティ
執筆者紹介
Alessandro Rossi is an EMEA Senior Specialist Solution Architect for Red Hat Enterprise Linux with a passion for cloud platforms and automation.
Alessandro joined Red Hat in 2021, but he's been working in the Linux and open source ecosystem since 2012. He's done instructing and consulting for Red Hat and delivered training on Red Hat Enterprise Linux, Red Hat Ansible Automation Platform and Red Hat OpenShift, and has supported companies during solutions implementation.
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